2011年10月28日
YELL 後編
(前編からのつづき)
しかし、そんな彼にも試練が訪れます。7月終わりごろから極度の打撃不振に陥ってしまいます。それはシーズン終わるまでずっと続くことになります。
毎度のように「バッティングの調子はどう?」って聞くと、返ってくる答えはいつも「よくないです」でした。ヒット3本打った試合でも「(復調の)きっかけがつかめてません」と言ってたこともありました。
端から見てても、明らかに調子が悪いと感じることもありました。特に8月後半なんかは、いつスタメンを外されてもおかしくない状態でした。
それでも西田監督は彼をずっと1番で使い続けてきました。プロに行けたのも、監督のおかげであり、感謝しなきゃいけないところではあります。
前期ホーム最終戦となった徳島とのダブルヘッダー。2試合目は徳島のバレンティン投手がリリーフ登板して150キロを超える球を連発していました。
試合後、そのことについて聞いてみました。
「いや、速くなかったですよ。145も出てなかったんじゃないですか?ぼくはそう感じましたね。」
「いきなり150キロとか出たからスピードガンがバグったんかと思いましたよ」とぼくが返すと
「そうですよ!バグってたんですよ!アハハ…」
彼は見事に笑い飛ばしました。ぼくも一緒になって笑っていました。このダブルヘッダーは2試合とも負けてたんですけどね。そんなこともありました。
バレンティン投手すみません…。アイランドリーグの投手の中で一番速い球を投げるのはあなたです。
こんなぼくにでも彼は偽りなく本音で話してくれました。自分の意見がはっきり言える男でした。彼は人一倍負けず嫌いでした。自分の結果が出なくてチームも負けた日には悔しさを思いきり表に出したこともありました。そして誰よりもファンの人たちを大事にする男でした。彼はプロに向いてる性格を併せ持っていました。
ガイナーズ亀澤からホークス亀澤へ。
これからが本当の勝負です。
西田監督から「1年目が勝負だという気持ちで臨んでほしい」とハッパをかけられました。
でもまずは一歩ずつです。がむしゃらさを忘れず次の目標をクリアしてほしいと思います。
こうやって振り返るとあっという間でした。本音を言うと、ガイナーズ亀澤をもう少し見たかったという気持ちはあります。正直、寂しさはあります。まるでそれは卒業式にも似た感覚でした。
でもプロから指名を受けて、最高の形でガイナーズを卒業できてよかったです。成長していく姿を楽しみにしています。
サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと僕らを繋ぐ YELL
ともに過ごした日々を胸に抱いて
飛び立つよ 独りで 未来(つぎ)の空へ
いきものがかり『YELL』の歌詞の一部です。
次のステージに挑む亀澤選手に、ぼくからもエールを送りたいです。
ちなみに亀澤選手の登場曲は『LOVE PHANTOM』でした。ぼくもB'zは好きです。B'zの曲じゃないことをお許しください。
鷹のように力強く大きく羽ばたけ!
がんばろう日本!
“Dash on” NORI
しかし、そんな彼にも試練が訪れます。7月終わりごろから極度の打撃不振に陥ってしまいます。それはシーズン終わるまでずっと続くことになります。
毎度のように「バッティングの調子はどう?」って聞くと、返ってくる答えはいつも「よくないです」でした。ヒット3本打った試合でも「(復調の)きっかけがつかめてません」と言ってたこともありました。
端から見てても、明らかに調子が悪いと感じることもありました。特に8月後半なんかは、いつスタメンを外されてもおかしくない状態でした。
それでも西田監督は彼をずっと1番で使い続けてきました。プロに行けたのも、監督のおかげであり、感謝しなきゃいけないところではあります。
前期ホーム最終戦となった徳島とのダブルヘッダー。2試合目は徳島のバレンティン投手がリリーフ登板して150キロを超える球を連発していました。
試合後、そのことについて聞いてみました。
「いや、速くなかったですよ。145も出てなかったんじゃないですか?ぼくはそう感じましたね。」
「いきなり150キロとか出たからスピードガンがバグったんかと思いましたよ」とぼくが返すと
「そうですよ!バグってたんですよ!アハハ…」
彼は見事に笑い飛ばしました。ぼくも一緒になって笑っていました。このダブルヘッダーは2試合とも負けてたんですけどね。そんなこともありました。
バレンティン投手すみません…。アイランドリーグの投手の中で一番速い球を投げるのはあなたです。
こんなぼくにでも彼は偽りなく本音で話してくれました。自分の意見がはっきり言える男でした。彼は人一倍負けず嫌いでした。自分の結果が出なくてチームも負けた日には悔しさを思いきり表に出したこともありました。そして誰よりもファンの人たちを大事にする男でした。彼はプロに向いてる性格を併せ持っていました。
ガイナーズ亀澤からホークス亀澤へ。
これからが本当の勝負です。
西田監督から「1年目が勝負だという気持ちで臨んでほしい」とハッパをかけられました。
でもまずは一歩ずつです。がむしゃらさを忘れず次の目標をクリアしてほしいと思います。
こうやって振り返るとあっという間でした。本音を言うと、ガイナーズ亀澤をもう少し見たかったという気持ちはあります。正直、寂しさはあります。まるでそれは卒業式にも似た感覚でした。
でもプロから指名を受けて、最高の形でガイナーズを卒業できてよかったです。成長していく姿を楽しみにしています。
サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと僕らを繋ぐ YELL
ともに過ごした日々を胸に抱いて
飛び立つよ 独りで 未来(つぎ)の空へ
いきものがかり『YELL』の歌詞の一部です。
次のステージに挑む亀澤選手に、ぼくからもエールを送りたいです。
ちなみに亀澤選手の登場曲は『LOVE PHANTOM』でした。ぼくもB'zは好きです。B'zの曲じゃないことをお許しください。
鷹のように力強く大きく羽ばたけ!
がんばろう日本!
“Dash on” NORI
タグ :亀澤恭平
2011年10月28日
YELL 前編
やっぱりこの人のことを書かずにはいられません。福岡ソフトバンクホークス育成枠2巡目で指名された亀澤恭平選手です。
「フェニックスリーグ次第ですね」
10月1日、徳島インディゴソックスが総合優勝を決めた試合後、そう答えた選手こそ亀澤選手なのでした。
亀澤選手のプレーを初めて見たのは明治神宮大会でした。(テレビです)
無名の環太平洋大学の選手でした。いったいどんな選手なのか興味がありました。蓋を開ければ、足は速いし守備も上手い。そのプレーには目を引きました。
プロ志望届を出していたのも知っていました。同じ頃、ガイナーズでは大原選手が横浜から指名を受け、ショートのポジションが空いていました。
「ガイナーズに来てくれんやろか。」
そう思うようになっていました。そしたら本当にガイナーズに来てくれました。とても縁を感じました。
これは裏話ですが、ガイナーズは外野手も退団選手が多くて、外野にも空きができていました。本当は環太平洋大のチームメートで1番センターの尾中博俊選手(米・レンジャーズとマイナー契約)にもガイナーズに来てほしかったのです。
1番尾中、2番亀澤…
これ最高の1、2番やん!
そう思ったこともありました。
しかし、今となっては尾中選手がマイナー契約を結んでくれてよかったです。亀澤選手は1番がよく似合う選手ですから。もし尾中選手がガイナーズに来ていたら亀澤選手は1番を打つことはなかったでしょう。
入団して間もない頃はあまり目立ってなかったように思います。春先のぼくの注目はむしろ冨田投手でした。
徐々に頭角を現してきたのが6月下旬あたりからでした。今でも忘れられないプレーがあります。それは後期開幕戦となった三重との試合です。
この試合で亀澤選手は1、2塁間を抜けるライト前ヒットを放ちました。普通のライト前ヒットです。ところが亀澤選手は相手守備の一瞬の隙をついて二塁を陥れ、二塁打にしてしまいました。
NPBの選手でもなかなかできない走塁です。本当に鳥肌が立ちました。今年いろんな試合を観てきた中で1番のビッグプレーでした。この走塁を見たときにプロに行けるんじゃないかと思ったものです。
迷いがなく何のためらいもなく次の塁を狙う、思い切りのいい走塁。時としてそれが仇になることもありましたが、この走塁が示すように、この足こそが彼の1番の武器だと思っています。
後編へつづく。
「フェニックスリーグ次第ですね」
10月1日、徳島インディゴソックスが総合優勝を決めた試合後、そう答えた選手こそ亀澤選手なのでした。
亀澤選手のプレーを初めて見たのは明治神宮大会でした。(テレビです)
無名の環太平洋大学の選手でした。いったいどんな選手なのか興味がありました。蓋を開ければ、足は速いし守備も上手い。そのプレーには目を引きました。
プロ志望届を出していたのも知っていました。同じ頃、ガイナーズでは大原選手が横浜から指名を受け、ショートのポジションが空いていました。
「ガイナーズに来てくれんやろか。」
そう思うようになっていました。そしたら本当にガイナーズに来てくれました。とても縁を感じました。
これは裏話ですが、ガイナーズは外野手も退団選手が多くて、外野にも空きができていました。本当は環太平洋大のチームメートで1番センターの尾中博俊選手(米・レンジャーズとマイナー契約)にもガイナーズに来てほしかったのです。
1番尾中、2番亀澤…
これ最高の1、2番やん!
そう思ったこともありました。
しかし、今となっては尾中選手がマイナー契約を結んでくれてよかったです。亀澤選手は1番がよく似合う選手ですから。もし尾中選手がガイナーズに来ていたら亀澤選手は1番を打つことはなかったでしょう。
入団して間もない頃はあまり目立ってなかったように思います。春先のぼくの注目はむしろ冨田投手でした。
徐々に頭角を現してきたのが6月下旬あたりからでした。今でも忘れられないプレーがあります。それは後期開幕戦となった三重との試合です。
この試合で亀澤選手は1、2塁間を抜けるライト前ヒットを放ちました。普通のライト前ヒットです。ところが亀澤選手は相手守備の一瞬の隙をついて二塁を陥れ、二塁打にしてしまいました。
NPBの選手でもなかなかできない走塁です。本当に鳥肌が立ちました。今年いろんな試合を観てきた中で1番のビッグプレーでした。この走塁を見たときにプロに行けるんじゃないかと思ったものです。
迷いがなく何のためらいもなく次の塁を狙う、思い切りのいい走塁。時としてそれが仇になることもありましたが、この走塁が示すように、この足こそが彼の1番の武器だと思っています。
後編へつづく。
タグ :亀澤恭平