2011年04月01日
集中力


智弁和歌山−履正社
智弁和歌山、魔の5回。二死から7失点。3アウト目を取るのに8人の打者を費やした。突然乱れるのだから、何が起こるかよくわからないものだ。
履正社・石井選手の打席で、サイン違いによるパスボールによる失点から歯車が狂い出した。
石井選手、桝井選手に連続四死球を与えてしまい満塁。ピンチになっても高嶋監督はベンチ中央でじっと腕を組んで、いつもと変わらぬ仁王立ち。微動だにしなかった。
大西選手にカウント3ボール1ストライク。投手心理からすると押し出しは嫌なもの。変化球が決まっていなかったので、打者としてはストレートに的が絞りやすかった。つまりながらも三遊間を抜ける2点タイムリーを浴びる。ベンチの思いに応えられなかった。
続く坂本選手にもセンターオーバーの2点タイムリー二塁打を打たれてしまう。こうなれば履正社の勢いは止まらない。
高嶋監督はベンチ前でキャッチボールをしていた蔭地野投手に「行け!」とマウンドを指差したあと、ベンチの奥へと消えた。なす術がなかった。
大量リードを奪われたが、最後まで諦めるわけにはいかない。しかし、5回の7失点というのはショックも大きかっただろうし、集中力も散漫になるものだった。
9回表の履正社の攻撃。二死2、3塁で海部選手の打球はボテボテの3塁ゴロでタイムリー内野安打。捕って送球しても完全に間に合わない打球でありファールにするべき打球であった。
ベンチから道端捕手に「声を出せ!指示をしろ!」というようなお叱りの言葉が飛んだ。
たとえ追いつけなくても、ひっくり返せなくても、最後まで自分たちのプレーを心がけることなら出来る。ただ、こんな試合になると最後まで集中力を保つことがどれだけむずかしいことか。特にキャッチャーとなると、いろんなことに神経を使わなきゃいけないので尚更のことだ。
智弁にとって、特に道端捕手にとって、最後の最後まで重くのし掛かるビッグイニングになってしまった。
がんばろう日本! のり
2011年04月01日
トモダチ大作戦


鹿児島実−東海大相模
東海大相模は今大会初めて、近藤投手を先発のマウンドに送り出した。(前回はリリーフで登板)
この投手のストレートは独特な伸びをしていた。
難しい例えになるが強肩の外野手がバックホームしているような球を投げていた。
何と言うか、速さはそんなに感じないんだけど、手元でグッと伸びるようなまっすぐだった。この球に鹿児島実の打者が差し込まれる場面が多かった。
今日は何と言っても、豊住選手、濱田選手、揚村選手のクリーンナップを完璧に封じたことが大きい。
初回に左打者の豊住選手に大きなライトフライを打たれた。今日の甲子園は、いつものライトからレフト方向への浜風。この風がなかったらあの打球はライトの頭を越えていただろう。
同じく左打者の濱田選手には内角で、右打者の揚村選手には外角で徹底して勝負をしていた。浜風を計算した投球もよかった。
東海大相模の先制点は1、3塁で鹿児島実・野田投手が踏み出す足の掘れているところに足をとられてバランスを崩す、ボークによるものだった。
一方の鹿児島実もすぐさま同点機が訪れる。2回裏、下位打線の連打で二死1、2塁のチャンス。佐々木選手のセンター前に抜けようかというあたりは東海大相模のショート・橋本選手の好プレーに阻まれる。
この打球はマウンドの傾斜に当たって、高く跳ね、若干、打球が弱くなった。そのぶん、橋本選手が追いつけたのだろう。マウンドのイタズラも勝負の明暗を分けた。
本当に甲子園では左打者が浜風とうまく付き合うのはむずかしいと思った。
がんばろう日本! のり